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2025/11/27 歯周病

歯周病で抜歯と言われたら知っておきたい5つの選択肢

歯周病で抜歯と言われたショックを乗り越えるために

「歯周病が進行しているので、この歯は抜歯が必要です」

診察室でこの言葉を聞いたとき、多くの患者さんは大きなショックを受けます。長年使ってきた自分の歯を失うことは、単に見た目や機能の問題だけでなく、精神的にも大きな影響を与えるものです。

歯周病は初期段階では自覚症状がほとんどないため、気づいたときには重症化していることも少なくありません。歯を支える骨が溶けてしまい、グラグラと動く状態になってしまうと、残念ながら抜歯という選択肢を考えなければならない場合があります。

しかし、歯周病で抜歯と言われたからといって、すぐに絶望する必要はありません。現代の歯科医療では、抜歯後の選択肢が豊富にあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。

私は日々の臨床で、歯周病で歯を失った患者さんが適切な治療を受けることで、再び美しい笑顔と快適な咀嚼機能を取り戻す姿を見てきました。

この記事では、歯周病で抜歯と言われたときに知っておくべき5つの選択肢について、それぞれの特徴や適応症、メリット・デメリットを詳しく解説していきます。

歯周病による抜歯が必要になるケースとは

まず、どのような状態になると歯周病で抜歯が必要になるのかを理解しておきましょう。

歯周病は歯と歯ぐきの間に歯周病菌が感染し、炎症によって歯を支える骨(歯槽骨)が徐々に破壊されていく疾患です。初期段階では歯ぐきの腫れや出血程度ですが、進行すると歯がグラグラと動くようになります。

歯科医院での検査では、歯と歯ぐきの境目にある歯肉溝にプローブという器具を入れて、どの程度骨が失われているかを調べます。健康な状態では1~3mm程度ですが、4mm以上になると歯周治療が必要です。

周囲の歯槽骨がほとんど失われている場合

歯周病が重度に進行すると、歯を支える骨がほとんど失われてしまいます。歯根の周りの骨がなくなると、歯は支えを失い、大きくグラグラと動くようになります。

このような状態では、いくら歯周治療を行っても歯を安定させることが難しく、そのまま放置すると周囲の健康な歯にまで悪影響を及ぼす可能性があります。

動揺が大きく咀嚼時に痛みがある場合

歯の動揺(グラつき)が大きくなると、食事の際に歯が傾いて歯ぐきを刺激し、痛みを感じるようになります。この状態では食事が苦痛となり、栄養摂取にも影響が出てきます。

また、痛みを避けるために特定の部位でばかり噛むようになると、歯並びが崩れたり、顎関節症を引き起こしたりする可能性もあります。

このような症状が現れている場合、抜歯を検討する必要があるかもしれません。

抜歯を回避できる可能性はある?

歯周病と診断されたからといって、必ずしも抜歯が必要というわけではありません。歯の状態によっては、適切な治療で歯を残せる可能性もあります。

私の臨床経験では、患者さんが「もう抜くしかない」と諦めていた歯でも、適切な治療によって機能を回復できるケースを数多く見てきました。

歯の動揺が小さい場合

歯の動揺が軽度(前後の動きが小さい)の場合は、歯石除去やSRP(スケーリング・ルートプレーニング)などの歯周治療を行うことで改善が期待できます。

SRPとは、歯根に付着した歯石を除去し、根面を滑らかにする処置です。これにより歯周ポケット内の細菌を減らし、炎症を抑えることができます。

歯周治療で改善が見られる場合

歯周治療を行って炎症が改善し、歯周ポケットの深さが減少するなど良好な反応が見られる場合は、継続して治療を行うことで歯を保存できる可能性が高まります。

ただし、全身疾患(糖尿病など)や服用中の薬の影響、セルフケアの状況によっては、改善が難しいケースもあります。

セカンドオピニオンを活用する

歯周病の進行度や治療方針は、歯科医院によって判断が異なる場合があります。抜歯を勧められた場合でも、別の歯科医院でセカンドオピニオンを求めることで、異なる治療選択肢が見つかるかもしれません。

永久歯は一度失うと二度と生えてこないため、抜歯の決断は慎重に行うべきです。納得のいく治療法を見つけるために、複数の専門家の意見を聞くことも大切です。

どうですか?自分の歯を守るために、まずは専門家に相談してみませんか?

歯周病で抜歯になった場合の5つの選択肢

残念ながら抜歯が避けられない場合でも、失った歯の機能を回復するための選択肢はいくつかあります。それぞれの特徴を理解し、自分に最適な方法を選ぶことが大切です。

1. インプラント治療

インプラントは、人工の歯根(チタン製のスクリュー)を顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療法です。天然歯に最も近い見た目と機能を再現できます。

当院では、CTなどの画像診断に基づく丁寧な診断と治療計画を立て、サージカルガイドを活用して解剖学的リスクに配慮した埋入を行っています。使用しているインプラントは信頼性の高いストローマン社製です。

骨量が不足している場合でも、GBR・ソケットリフト・サイナスリフトなどの骨造成を併用することで、インプラント治療が可能になるケースがあります。

インプラントのメリットは、見た目が自然で、天然歯のようにしっかり噛めること、そして顎の骨の減少を予防できることです。特に噛む力が改善することで、食事や会話の安定感が向上し、生活の質が上がります。

ただし、インプラントは自由診療(保険適用外)のため、費用面での負担が大きいことや、手術が必要なことがデメリットとして挙げられます。

2. ブリッジ治療

ブリッジは、欠損部分の両隣の歯を支台として、連結した人工歯を装着する治療法です。保険適用の範囲内で治療できるケースが多く、インプラントと比べて短期間で治療が完了します。

しかし、健康な隣在歯を削る必要があり、支台歯に負担がかかるというデメリットがあります。また、支台歯の状態によっては適応できない場合もあります。

3. 部分入れ歯

部分入れ歯は、失った歯の部分だけを補う取り外し可能な装置です。保険適用で比較的安価に治療できることが最大のメリットです。

しかし、装着感や違和感があり、噛む力も天然歯やインプラントに比べると弱くなります。また、金属のバネが見えることがあり、審美性に課題があります。

4. 総入れ歯(フルデンチャー)

多数の歯を失った場合には、総入れ歯という選択肢もあります。保険適用で治療できますが、安定性や噛む力の点では他の選択肢に劣ります。

最近では、インプラントで固定する「インプラントオーバーデンチャー」という方法もあり、従来の総入れ歯よりも安定性が向上しています。

5. 経過観察(抜歯後そのまま)

抜歯後、特に奥歯の場合は、そのままの状態で様子を見るという選択肢もあります。ただし、長期間放置すると、隣接歯が傾いたり、対合歯が伸びてきたりするなど、咬合バランスが崩れる可能性があります。

また、骨は使わないと徐々に痩せていくため、将来的に補綴治療を行う場合に不利になることがあります。

当院でのインプラント治療の特徴と流れ

当院では、歯周病で歯を失った患者さんに対して、インプラント治療を中心とした回復治療を提供しています。

治療前の丁寧な診断と説明

インプラント治療は手術を伴うため、事前の丁寧な診断と説明が非常に重要です。当院では、CTなどの画像診断に基づいてお口全体の状態を把握し、治療計画・予後・費用について分かりやすく説明しています。

特に歯周病で歯を失った方は、歯周病菌がまだ口腔内に残っている可能性があるため、インプラント治療前に徹底的な歯周病治療を行い、清潔な環境を整えることが重要です。

インプラント治療の流れ

当院でのインプラント治療は、以下のような流れで進めています:

  • カウンセリング・精密検査(レントゲン・CTなど)
  • 診断結果と治療計画の説明
  • 事前治療(虫歯/歯周病治療、必要に応じて骨造成)
  • インプラント埋入手術
  • 骨結合期間(2~6か月)
  • 上部構造(被せ物)の製作・装着
  • 定期メンテナンス

費用と治療期間

当院でのインプラント治療費用は、1本あたり330,000円(骨造成が必要な場合は380,000円)となっています。

内訳は、診断料(CT含む)0円、インプラント体50,000円、手術料100,000円、手術用マウスピース50,000円、アバットメント30,000円、上部構造(ジルコニアセラミック)100,000円、骨造成(必要時)50,000円です。

治療期間は、通常3~8か月程度で、通院回数は5~10回前後が目安です。ただし、骨造成の有無や全身状態によって個人差があります。

インプラント治療は公的医療保険の適用外(自由診療)であることをご理解ください。

インプラント治療後のケアと注意点

インプラント治療は、埋入して終わりではありません。長期的に良好な状態を維持するためには、適切なケアと定期的なメンテナンスが欠かせません。

インプラント周囲炎のリスクと予防

インプラントはむし歯にはなりませんが、「インプラント周囲炎」という歯周病に似た病気にかかるリスクがあります。特に歯周病で歯を失った方は、インプラント周囲炎のリスクが高いとされています。

予防のためには、毎日の丁寧なセルフケアと定期的なプロフェッショナルケアが重要です。当院では、インプラント専用の歯間ブラシやフロスの使い方を丁寧に指導しています。

定期メンテナンスの重要性

インプラント治療後は、3~4か月ごとの定期検診・クリーニングをお勧めしています。定期的なメンテナンスにより、問題の早期発見・早期対応が可能になります。

私の臨床経験では、定期メンテナンスを欠かさない患者さんのインプラントは、10年以上良好な状態を維持できるケースが多いです。

インプラント治療のリスクと副作用

インプラント治療には、手術後の腫れ・痛み・出血・内出血、創部感染、インプラント周囲炎、神経障害(しびれ・知覚異常)、上顎洞への穿孔リスク(上顎臼歯部)、骨結合の遅延・不全、上部構造/スクリューの破損・緩みなどのリスクがあります。

また、糖尿病・骨粗鬆症薬(ビスホスホネート等)・喫煙などの既往や生活習慣により、合併症のリスクが高まる場合があります。

当院では、これらのリスクを最小限に抑えるため、事前の検査と診断を丁寧に行い、患者さんの全身状態を考慮した治療計画を立てています。

まとめ:歯周病で抜歯と言われたら

歯周病で抜歯と言われたときは、大きなショックを受けるかもしれませんが、現代の歯科医療では様々な選択肢があります。

まず、本当に抜歯が必要かどうか、セカンドオピニオンを含めて慎重に判断することが大切です。歯の動揺が小さい場合や、歯周治療で改善が見られる場合は、抜歯を回避できる可能性もあります。

抜歯が避けられない場合の選択肢としては、インプラント、ブリッジ、部分入れ歯、総入れ歯、または経過観察があります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、自分の状態や希望、予算に合わせて最適な方法を選びましょう。

特にインプラント治療は、天然歯に最も近い機能と審美性を回復できる方法ですが、適切な術前診断と治療後のケアが重要です。

当院では、歯周病で歯を失った患者さんに対して、丁寧な診断と説明に基づいた治療を提供しています。不安なことがあれば、まずはご相談ください。

あなたの笑顔と噛む喜びを取り戻すお手伝いをさせていただきます。

著者情報

いまいずみ歯科 院長

今泉 朋久(いまいずみ ともひさ

 

【経歴】

館林市出身

日本大学松戸歯学部卒業