歯が割れたかも?歯根破折の症状と保存できる可能性を徹底解説
「噛むと痛い」「歯茎が腫れてきた」「被せ物が外れやすい」・・・
こうした症状があって歯科医院を受診したところ、「歯が割れています」「抜歯が必要です」と突然告げられたら、驚きますよね。
歯が割れること、つまり「歯根破折」は、日本人の抜歯原因の第3位に挙げられるほど、歯を失う大きな要因です。しかし、近年では抜歯せずに歯を残す「保存治療」が可能なケースも増えてきました。
この記事では、歯根破折の症状や原因、そして「本当に抜歯しかないのか?」という疑問に対して、保存治療の可能性や最新の治療法まで詳しく解説します。
歯根破折とは?歯が割れる仕組みと原因
歯根破折とは、歯の根の部分が割れたり、ひびが入ってしまう状態を指します。
歯は本来、体の中で最も硬い組織であり、多少の圧力ではびくともしません。しかし、ある条件が重なると、歯は枯れ木のように脆くなり、縦に裂けてしまうことがあるのです。
神経を取った歯は割れやすい
歯根破折は、神経のない歯に起こりやすいという特徴があります。
神経を取る治療(抜髄)を行うと、歯への血液供給が断たれます。栄養が届かなくなった歯は、しなやかさを失い、硬くて脆い状態に変化します。その結果、強い力が加わると「ポキッ」と折れやすくなってしまうのです。
歯根破折の主な原因
歯根破折を引き起こす原因は、大きく分けて以下の要因があります。
- 神経を取って長期間経過した歯・・・歯質が脆くなり、強度が低下します。
- 金属の土台(コア)が入っている歯・・・金属と歯質の硬さの差により、歯に過度な負担がかかります。
- 歯ぎしりや食いしばり・・・日常的に強い力が歯にかかり続けることで、破折のリスクが高まります。
- 硬いものを噛む習慣・・・ガムや氷、硬い食べ物を頻繁に噛むことで、歯に負担がかかります。
- 不正咬合・・・特定の歯に過度な力が集中し、破折しやすくなります。
- 外傷・・・転倒やスポーツでの衝撃により、歯が割れることがあります。
歯根破折の症状・・・こんなサインに注意
歯根破折は、神経のない歯に起こることが多いため、初期段階では痛みを感じにくいという特徴があります。
しかし、放置すると細菌が歯のひびから侵入し、周囲の組織に炎症を引き起こします。以下のような症状が現れたら、歯根破折の可能性を疑いましょう。
初期症状
- 歯に違和感がある、むずむずする
- 噛むと響くような感覚がある
- 歯が浮いたような感じがする
- 被せ物(差し歯)が取れやすい
進行した症状
- 歯茎が腫れる
- 歯茎に白いできもの(膿の袋)ができる
- 噛むと痛みがある
- 歯が揺れる
- 激しい痛みが出る
これらの症状を感じたら、早めに歯科医院を受診することをおすすめします。
歯根破折の診断は難しい・・・抜歯を即決しない理由
歯根破折の診断は、実は非常に難しいものです。
歯の根は骨の中に埋まっているため、直接目で確認することができません。レントゲンでも、割れた直後やひびの程度によっては異常が映らないことがあります。
グレーゾーンの診断
レントゲンに明確な破折線が写っていれば診断は容易ですが、多くの場合、「歯根破折の疑い」というグレーゾーンの判断になります。
歯の周りに膿が溜まっている場合も、それが歯根破折によるものなのか、根尖病巣(根っこの先に膿がたまる病気)によるものなのか、判別が難しいケースがあります。
抜歯を即決せず、経過観察という選択肢
診断が難しいからこそ、すぐに抜歯を決断するのではなく、まずは投薬や根管治療で症状の改善を待つことが大切です。
当院でも、歯根破折の疑いがある場合、まずは保存治療を試み、経過を観察することを重視しています。結果的に抜歯になったとしても、延期することで患者さまの大切な歯を守る可能性を最大限に探ります。
歯根破折でも抜歯しない・・・保存治療の可能性
従来、歯根破折は「抜歯するしかない」とされてきました。
しかし、近年ではマイクロスコープ(歯科顕微鏡)やCT、超音波切削器具、接着技術などの先端医療機器・技術の発達により、歯根破折した歯でも保存できるケースが増えてきました。
破折歯接着保存治療とは
破折歯接着保存治療とは、割れた歯を接着剤で修復し、元の状態に近づける治療法です。
日本で生み出されたこの治療法は、患者さまの大切な歯をできるだけ残すことを目的としています。
保存治療が成功するための3つのポイント
破折歯の保存治療が成功するためには、以下の3つの条件を満たす必要があります。
- 感染源を完全に除去できるか
- 破折部を接着剤で密閉できるか
- その状態を維持し続けられるか
これらの条件を満たすためには、歯の状態を正確に見極めることが重要です。
保存治療が適している症例
- 破折してから間もない歯
- 残存歯質のクオリティーが良い歯(神経を取って間もない、感染が少ない)
- 残存歯質のボリュームが十分にある歯(厚み、幅、長さ)
- 破折線が比較的単純な歯
保存治療が難しい症例
- 歯の割れ方が複雑で、接着修復が不可能な場合
- 破折による炎症や骨吸収が進行している場合
- 歯根の著しい湾曲がある場合
保存治療の方法・・・口腔内接着法と再植法
破折歯の保存治療には、主に2つの方法があります。
口腔内接着直接法
歯根破折による周囲組織の炎症が少ない場合に適用される方法です。
口の中で直接、破折した歯を特殊な接着剤(スーパーボンド)で接着し、ファイバーコアを築盛します。ほとんどのケースで当日中に仮の歯まで装着できるため、患者さまの負担が少ない治療法です。
口腔外接着再植法
割れた歯が長く放置され、破折部が開いて分離している場合に適用される方法です。
一度抜歯して、口の外で破折した歯を接着剤で修復し、ファイバーコアを築盛した後、再び元の位置に戻します。縫合が必要なため、後日抜糸が必要になります。
治療の流れ
- 診査・診断・・・レントゲンやCTで歯の状態を確認します。
- 保存治療の実施・・・口腔内接着法または再植法を行います。
- 固定期間・・・再植法の場合、約1ヶ月間固定します。
- 固定除去・・・固定を取り除き、経過を観察します。
- 最終修復・・・必要に応じて被せ物を装着します。
保存治療のメリットとデメリット
保存治療には、メリットとデメリットの両方があります。
メリット
- 自分の歯を残せる・・・何よりも、生まれ持った自分の歯を失わずに済みます。
- インプラントやブリッジを避けられる・・・高額な治療や、健康な歯を削る必要がありません。
- 歯槽骨の吸収を防げる・・・歯を残すことで、周囲の骨が失われるのを防ぎます。
デメリット
- すべてのケースに適用できるわけではない・・・歯の状態によっては保存が難しい場合があります。
- 症状が再発する可能性がある・・・保存治療後も、経過観察が必要です。
- 治療回数が増える・・・抜歯に比べて、通院回数が多くなることがあります。
- 高度な技術が必要・・・歯科医師の技術や経験が治療の成否に影響します。
当院の考え方・・・削らない・抜かない治療を心がけています
当院では、「削らない・抜かない治療」を基本方針としています。
どんなに素晴らしい治療をしても、生まれ持ったご自身の歯に勝るものはないからです。そのため、歯根破折の疑いがある場合でも、すぐに抜歯を選択するのではなく、まずは保存治療の可能性を探ります。
患者さまの意思を尊重した治療
保存治療を行っても、数年後に抜歯が必要になる可能性もあります。
そのため、当院では「できるだけ歯を持たせたいのか」「長持ちしないなら抜歯してしまいたいのか」など、患者さまのお考えや意見を伺いながら、治療方針を決めていきます。
定期的なメンテナンスの重要性
保存治療後は、定期的な検診とメンテナンスが欠かせません。
当院では、治療後も長く安心して使い続けられるよう、3〜4か月ごとの定期管理をおすすめしています。
歯根破折を予防するために・・・今日からできること
歯根破折を完全に防ぐことは難しいですが、リスクを減らすことは可能です。
- 神経を取る治療を避ける・・・虫歯を放置せず、早期治療を心がけましょう。
- 金属の土台を避ける・・・被せ物をする際は、ファイバーコアなど柔軟性のある素材を選びましょう。
- 歯ぎしり・食いしばりの対策・・・マウスピースを使用し、歯への負担を軽減しましょう。
- 硬いものを噛む習慣を見直す・・・氷やガムなど、歯に過度な負担をかける習慣を控えましょう。
- 定期的な歯科検診・・・早期発見・早期治療が、歯を守る最善の方法です。
まとめ・・・抜歯と言われても、諦めないでください
歯根破折は、確かに深刻な問題です。
しかし、近年の歯科医療の進歩により、抜歯せずに歯を残せる可能性が広がっています。「歯が割れた」「抜歯が必要」と言われても、すぐに諦める必要はありません。
当院では、患者さま一人ひとりの歯の状態を丁寧に診査し、保存治療の可能性を最大限に探ります。歯に違和感や痛みを感じたら、お早めにご相談ください。
地域の皆さまが生涯ご自分の歯で食事をし、笑顔でいられるようサポートしていきたい・・・それが当院の願いです。
いまいずみ歯科
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