歯が抜けたまま放置するとどうなる?噛み合わせと健康への影響とは

歯が抜けたまま放置すると起こる深刻な問題
虫歯や事故で歯を失った時、「奥歯だから見えないし、そのままでいいかな」と考えていませんか?
実は、たった1本の歯を失っただけでも、お口の中のバランスは大きく崩れてしまいます。歯は28本すべてが連携して、噛む・話す・笑うといった日常の動作を支えているのです。
歯が抜けた状態を放置すると、隣の歯が傾いたり、噛み合う反対側の歯が伸びてきたりします。これにより噛み合わせの位置がズレて、しっかり噛めなくなる可能性が高まります。さらに、歯のない部分は骨への刺激がなくなるため、顎の骨が徐々に痩せていき、歯茎が凹んだ形になってしまうのです。
このような変化は、見た目だけの問題ではありません。噛む力の低下は消化器官への負担を増やし、発音障害や認知機能の低下にまでつながることが研究で明らかになっています。
噛み合わせが崩れることで起きる口腔内の変化
隣の歯が傾き、反対側の歯が伸びてくる
歯には隙間がある方へ動く性質があります。
例えば、右下の前歯から3番目の歯が抜けたままだと、その両隣の歯が少しずつ傾いてきます。これは歯を支える骨や歯茎が、空いたスペースに向かって移動するためです。
さらに、抜けた歯の反対側にある歯は、噛み合う相手がいないため、顎の骨の中から徐々に伸びてきてしまいます。伸びた歯は、顎の骨の中に埋まっていた部分が露出するため、しみやすくなったり、虫歯になりやすくなったりします。また、伸びた歯が反対側の他の歯に強く当たり続けると、痛みや炎症が出ることも少なくありません。
残った歯への負担が増大する
歯が1本でもなくなると、噛み合わせのバランスが崩れて、他の歯に大きな負担がかかるようになります。
食べ物を噛み砕いたり、すり潰したりする時には、グッと力が歯にかかります。それに加えて、噛む回数も合わせると、歯にかかる負担は相当なものです。他の歯に強い負荷がかかると、歯の周辺の骨が溶けたり、歯茎が下がったりする原因になります。
また、歯への過度な負担は、歯が折れたり、根の先に膿ができたりして、歯の寿命を短くすることにもつながります。
歯茎が凹み、骨が痩せていく
歯が抜けて放置していると、歯茎が凹んだ形になります。
歯がないと、噛む刺激が骨に伝わらなくなり、骨が痩せていきます。骨が痩せると同時に、歯茎の位置も下がって、凹んだような形になり、見た目が悪くなりやすいです。この変化は、後から入れ歯やブリッジ、インプラントなどの治療を受ける際にも影響を及ぼし、治療の難易度を上げてしまう可能性があります。

全身の健康にまで及ぶ深刻な影響
噛む力の低下と消化不良

歯が抜けたまま放置すると、噛む力が低下します。
噛む力が不十分だと、食べ物を十分に噛み砕くことができず、消化不良を引き起こす可能性があります。これにより、胃腸に負担がかかり、消化器系の問題が発生することがあります。よく噛んで食べることは消化の第一歩であり、食べ物を細かく砕くだけでなく、唾液中の消化酵素を十分に行き渡らせる働きを担います。
研究によれば、噛む回数が増えるほど栄養の吸収率が上がり、胃腸での消化もスムーズになります。噛むことで血液中の消化ホルモンが増加し、消化管が活発に動くよう指令が出るためです。
発音障害と舌の癖
歯がない部分がある場合には、言葉を発する時に、空気が隙間から漏れてしまい、ハッキリとした発音ができなくなります。
特に「サ行」や「タ行」「ラ行」などは、狭い隙間に空気が通ることで発音できるようになっています。大きな隙間がある状態では、ハッキリと発音できず、他人からも言葉が聞き取りにくくなる場面が多くなるでしょう。
また、歯に大きな隙間ができると、無意識のうちに舌が隙間を触っていることがあります。歯の隙間に舌を入れる癖は、歯が押されて歯並びが悪くなる原因になります。舌癖が改善していないのに治療をしても、歯を押す癖が残ってしまい、出っ歯や受け口などの歯が前に出ているような歯並びになる可能性が高いのです。
認知機能の低下と脳への影響
歯の欠損が認知症のリスクを高めるという研究結果も報告されています。
複数の国の約30,000人を対象にしたデータを統合して解析した結果、歯の欠損が多い人は、認知症の発症リスクが最大1.3倍高いという結論が得られました。さらに、歯が20本未満の高齢者が認知症を発症するリスクは、20本以上の歯を持つ高齢者に比べて約1.4倍高いことが確認されています。
歯を失うと咀嚼回数が減り、脳への血流や刺激が減少します。これが脳の萎縮や認知機能の低下につながる可能性があります。また、歯の欠損によって食事の質が低下すると、特に脳の健康に重要なオメガ3脂肪酸や抗酸化物質の摂取が不足することがあります。
見た目と心理面への影響
老け顔になる原因
歯がない状態では、しっかりと噛めず、今までに比べて噛む回数が減少します。
噛む回数が減ることで、口周りの筋肉が使われなくなり、筋力が低下していきます。特に、頬の筋肉が低下すると、頬の位置が下がって老け顔に見えるようになるのです。また、歯を失った部分は骨が痩せるため、顔の輪郭が変わり、頬がこけて見えたり、顎がたるんで見えたりと老けた印象を与えてしまいます。
笑顔への自信喪失とコミュニケーションへの影響

歯が抜けたままの状態は、見た目にも大きな影響を与えます。
前歯が抜けている場合、話すときや笑うときに見えるため、心理的なストレスを感じることがあります。自信を失い、人前で話すことや笑うことを避けるようになることもあります。歯が抜けた状態を放置すると、顔全体が老けた印象になり、笑顔がぎこちなくなり、コミュニケーションに自信を持てなくなる方もいらっしゃいます。
治療を先延ばしにすることのリスク
治療費が高額になる可能性
失った歯を放置していると生じる様々なデメリット。
そのようなトラブルを後から改善するには、より大がかりな治療が必要となります。実際、歯を抜いた後に放置していた多くの方が、早めに治療をしておけば良かったとおっしゃっています。歯が傾いたり、骨が痩せたりした状態では、矯正治療や骨造成などの追加治療が必要になることがあり、治療費が高額になる可能性があります。
治療期間が長くなる
歯が抜けた状態を長期間放置すると、噛み合わせの位置が大きく変わり、治療の難易度が上がります。
傾いた歯を元に戻したり、伸びた歯を削ったりする必要があるため、治療期間が長くなる傾向があります。また、骨が痩せている場合には、インプラント治療の前に骨造成(GBR・ソケットリフト・サイナスリフト)などの処置が必要になることもあり、治療完了までに時間がかかります。
歯を失った時の治療法の選択肢
ブリッジ治療
ブリッジは、抜けた歯の両隣の歯を支えとして、橋渡しのように人工の歯を繋げる治療方法です。
自然な見た目と噛む力を取り戻すことができます。治療期間が短い傾向にあり、入れ歯のような異物感は抑えられます。ただし、両隣の歯を削らなければいけないこと、両隣の歯に強い負担がかかることがデメリットです。
入れ歯治療
入れ歯は、手軽に使用できる治療法です。
治療期間が短くて済み、ほとんどの症例で入れ歯を提案可能です。ただし、見た目に違和感を覚える可能性があり、噛んだ時に違和感が出る場合があります。保険の入れ歯だと熱が伝わりにくいことがあり、厚みがあるタイプだと装着時に異物感を覚える可能性があります。部分入れ歯は両隣の歯に強い負担をかけます。
インプラント治療

インプラントは、顎の骨にチタン製の人工歯根を埋入し、その上に人工歯を装着する治療です。
自分の歯のようにしっかり噛めることが特長で、隣の歯を削らず、見た目も自然です。長期的な機能回復が期待できます。当院では、歯科用CTで骨量・神経走行を立体的に把握し、デジタルシミュレーションで埋入位置・角度・深度を事前設計して、安全性と正確性を高めています。
サージカルガイドを使用することで、計画通りの位置に正確に埋入し、神経・血管リスクの低減と低侵襲を両立しています。世界的に信頼されるストローマン社製を採用し、生体親和性・長期安定性に優れたインプラントを提供しています。骨量が不足するケースには、GBR・ソケットリフト・サイナスリフト等の骨造成で対応し、難症例でも治療可能性を広げています。
いまいずみ歯科のインプラント治療の特徴
精密診断と徹底した治療計画
インプラント治療を成功させる鍵は、事前の診査・診断にあります。
当院では、歯科用CTで骨の厚みや神経の位置を立体的に把握し、一人ひとりに合わせた治療計画を立てています。事前にシミュレーションを行うため、手術中のリスクを最小限に抑えることができます。
痛みや腫れを抑えた優しい手術
「手術」と聞くと不安を感じる方も多いかもしれません。
いまいずみ歯科では、麻酔の方法や切開範囲にも配慮し、できるだけ痛みや腫れを抑えた低侵襲な手術を行っています。「思ったより楽だった」と言ってくださる方も少なくありません。
術後管理まで一貫したサポート

インプラントは「入れて終わり」ではありません。
当院では、治療後も定期的な検診やクリーニングを行い、インプラントを長く健康に使っていただくためのサポートを続けています。3〜4か月に一度のメンテナンスで、清潔で安心なお口を保ちましょう。適切なケアで10年以上の機能が期待できます。
まとめ:歯を失ったら早めの治療を
歯が抜けたまま放置すると、噛み合わせのバランスが崩れ、隣の歯が傾いたり、反対側の歯が伸びたりします。
これにより、残った歯への負担が増大し、消化不良や発音障害、認知機能の低下など、全身の健康にまで影響を及ぼす可能性があります。また、見た目が老けて見えたり、笑顔への自信を失ったりするなど、心理面への影響も無視できません。
治療を先延ばしにすると、治療費が高額になったり、治療期間が長くなったりするリスクもあります。将来後悔しないためにも、もし歯を失ったら、インプラント、入れ歯、ブリッジなど、歯の機能を補う治療をすぐに受けるようにしてください。
いまいずみ歯科では、患者さん一人ひとりの状態や生活に合わせ、無理のない方法で安全・確実なインプラント治療を行っています。佐野市の皆さまが「自分の歯で食べる幸せ」を取り戻せるよう、心を込めてサポートいたします。
歯を失っても、しっかり噛める喜びを諦めないでください。
お困りごとがございましたら、お気軽にいまいずみ歯科までご相談ください。丁寧なカウンセリングで、不安の解消からお手伝いします。
著者情報
いまいずみ歯科 院長
今泉 朋久(いまいずみ ともひさ)

【経歴】
館林市出身
日本大学松戸歯学部卒業